看護師を名乗るアカウントがX上で、医療ミスや医師、患者に対する不適切な投稿を繰り返したとして、千葉大学病院(千葉市中央区)の大鳥精司病院長が1月8日、「病院として適切に対応する」と公式サイト上で表明、内部調査を始めたことを明らかにした。
問題のアカウントと投稿は同日までに削除されているが、〈某大学病院、腸外科のあの医者、死ね〉〈面倒だからインシデント隠蔽〉などの投稿のほか、30歳を目前にマッチングアプリでフラれるといった、プライベートな悩みも吐露していた。
匿名アカウントにもかかわらず、なぜ千葉大学病院が内部調査を始めるに至ったのか。この病院に勤務経験がある医師によると、
「この匿名アカウントは3年前から、心停止の恐れがある塩化カリウム剤を『一気に患者に投与しちゃった』などと、業務上過失致死、傷害事件を彷彿させるような投稿を繰り返し、どこの職員なのか注目されていました。誹謗中傷の被害にあった医師が珍しい苗字だったため、病院の特定に至ったのです」
一部伏字にしながらも千葉県と茨城県のみ、全国にわずか300人しかいない苗字の医師を執拗に誹謗中傷したため、千葉大学病院と特定されたのだ。他にも特定に至った理由があると、この医師は声を潜めて明かす。
「千葉大学病院には外科医が他科や非臨床医、看護師ら他業種を見下すパワハラ、モラハラ風土があるんです。麻酔科医や放射線科医、病理医ら同僚医師を医師とも思わない尊大な言動がね。2016年には親族が弁護士会会長、最高裁判事を務めたバカボン医学生と大学病院勤務医ら4人が、女子学生を大学構内トイレから医学生の自宅に拉致監禁し、執拗に集団性的暴行を加えた事件が起きています。被害者が敷地内の病院に助けを求めたことで事件が発覚しましたが、職員が通報したにもかかわらず、千葉県警は『上級国民不逮捕』を貫き、批判が出て逮捕された後も、当初の集団強姦致傷容疑から起訴時には集団強姦罪、準強姦罪、準強制わいせつ罪…と微罪にすげ替えられました。昭和58年にも勤務医が、前年に職場結婚したばかりの同僚女性病理医を殺害する事件が起きています。他の国公立大学医学部と比べて不祥事が突出しており、千葉大学病院の看護師ならば、ここまで精神崩壊してもおかしくない」
海堂尊氏のベストセラー医療小説「チームバチスタの栄光」などで描かれた医療界のセクショナリズム、外科至上主義のモデルも、千葉大学病院だと言われる。近年は通院患者の6割が高齢者を占める一方、急速な合理化を進め、受付や会計、待合室のベンチまで減らしたため、患者と付き添い者が立ったまま数時間待たされる…と怨嗟の声が上がっていた。
医療業界では重大な事故1件につき、300件のトラブルが隠れているとされる。看護師1人を処分する「トカゲの尻尾切り」をしても、千葉大学病院の不祥事が止むことはないかもしれない。
(那須優子/医療ジャーナリスト)