季節性インフルエンザが全国で猛威を振るっている。
厚生労働省が全国約5000カ所の定点医療機関で実施している感染症発生動向調査によれば、昨年暮れのインフルエンザ患者数は1999年の統計開始以降、過去最多を記録。全ての都道府県で、前の週を上回る患者数が報告された。
一方、新型コロナも昨年末、1医療機関あたりの患者数が5週連続で増加。この間にはXEC株など強い感染力を持つ変異株が次々と登場しており、感染症法上の位置づけが2類相当から5類へと切り替えられた2023年5月から昨年8月までの死者数だけでも、約4万4000人(累計死者数は13万人超)に達している。
そんな中、衝撃の予測が飛び出している。感染症の専門家が表情を曇らせて言う。
「インフルエンザの患者数は今年1月に入って減少傾向にありますが、昨年暮れまでのA型に置き換わる形で、B型の流行がすでに始まっており、1月下旬から2月にかけての『第2の感染爆発』が懸念されています。加えてインフルエンザの第2波が終息したとしても、新型コロナの流行が春から秋にかけて続くほか、秋以降には再びインフルエンザの流行が始まります。今年はコロナ禍が明けて2年目にあたりますが、その足元にはインフルとコロナの『ダブル感染爆発』の危機が迫りつつあるのです」
では我々が実際にそうした環境に置かれた場合、どれほどの「被害」が想定されるのか。感染症の専門家が続けて明かす。
「間接死も含めたインフルエンザによる死者数は毎年1万人前後ですが、過去最多の患者数で幕を開けた今年の感染爆発による死者数は、平年を大きく上回る数字になると予測されています。厚労省が公表している人口動態統計によれば、新型コロナの死者数は昨年1月から8月までだけで2万6302人に上っており、今年1年間の死者数は間違いなく3万人を超えるとみられています。そうした数字を合算すると、インフルとコロナのダブル感染爆発による今年の死者数は、5万人に達する計算になるのです」
事態は動き出したばかり。インフルやコロナを甘く見てはいけない、ということだ。
(石森巌)