日本中がメジャーリーグ開幕フィーバーに沸いた「東京シリーズ」。実は大谷翔平は試合開始前、「二刀流復帰」へ向けた投球練習を秘かに行っていた。
2月25日以降、大谷はブルペンでの投球練習を控えるなど、二刀流復帰への調整ペースを落としている。その大谷がデーブ・ロバーツ監督をはじめ、右肘と左肩の手術を担当したニール・エラトロッシュ医師、トレーナーと思われるスタッフなど、複数の関係者が慎重に見守る中、以下のような練習メニューを精力的にこなしていたのである。
●まずは数分間、人工芝が敷き詰められた外野ゾーンで、キャッチャーとウォーミングアップのためのキャッチボールを行う。
●ウォーミングアップを終えると、足早にキャッチャーのもとへ駆け寄り、そこからゆっくりと歩き出して、キャッチャーから「キッチリ21歩」の距離を取る。
●21歩の距離はマウンドからホームベースまでの距離にほぼ等しく、そこから左足をいったん後ろ側に引くノーワインドアップ(大谷が今シーズンから試している、新たな投球フォーム)で約10球、速球を投げ込む。
●その後、従来のセットポジションからの投球フォームに戻して、さらに10球程度、速球を投げ込み、練習メニューを終了させる。
では、大谷が投げ込んでいた「速球」のスピードは、どれくらいだったのか。大谷のすぐ後ろで投球練習を見守っていたトレーナースタッフの球速計には常時、「98マイル」(156キロ)前後の数字が表示されていたようだ。
東京シリーズ第2戦終了から数時間後、大谷はチームメートらとともに機上の人となった。今後は古巣エンゼルスとのオープン戦3試合を経て、いよいよアメリカでの開幕戦に臨むことになる。
大谷には「急がず焦らず」の万全の準備で「二刀流復帰」を目指してもらいたい。
(石森巌)