多くの人が子供の頃に一度くらいは経験があるのでは…と思われるのが、コックリさんだ。遊び方は至って簡単。机に10円硬貨を置き、そこに人さし指を乗せる。そして「コックリさん、コックリさん、おいでください」と呼びかけると、自然に硬貨が動き始め、「コックリさん」が文字盤伝いに質問に回答してくれるというものだ。基本的に独りでも遊べるし、複数でも、硬貨の上に指さえ置ける人数であれば可能とあって、日本でも70年代から80年代には、空前のブームになったものだ。
南米コロンビアで今年3月、そのコックリさんで遊んでいた少女28人が失神するなどの不調を訴え、病院に搬送された。これが英ネットメディア「Indy100」など複数の媒体で記事配信されると、世界中のオカルトファンに戦慄が走ったのだ。
「惨劇の舞台となったのは、コロンビアのスクレ県ガラレスにある学校です。少女たちは教室で、死者と交信ができるとされる『ウィジャボード』を使って遊んでいたようですが、その最中に次々と失神していった。生徒のひとりが学校の緊急警報ベルを押し、駆けつけた学校職員らが市内の病院に搬送したというわけです。彼女たちの症状について詳しい情報は公表されていないものの、今回の騒動を重くみた学校では『ウィジャボード禁止令』を出し、注意喚起をしているようです」(サブカルチャー研究家)
ウィジャボードを使った降霊術は、ウィジャ招霊術とも呼ばれ、1890年代初頭に商品化。子供たちを中心に普及したとされる。遊び方は、参加者が手を繋いで丸テーブルを囲み、そこに死者の霊が呼び寄せられると、テーブルが動き床が鳴り始め、これが死者との交信が始まった合図だとされる。そしてコックリさんのように木製の文字盤を使い、質問に答えてくれるというものだ。
日本で初めてこのウィジャ招霊術が紹介された1974年、アメリカのホラー映画「エクソシスト」が日本に上陸。この作品でもウィジャ招霊術が使われるシーンがあり、これを機にオカルト・ブームに火が付いたという経緯がある。
「それからすでに半世紀が経ちましたが、南米では今、ブームになっているといいます。ただ、ゲームの起源は降霊術ですからね。遊び方によってはそれこそ、本当に霊が下りてきて体から抜けなくなった例もあると言われます。今回のコロンビアのケースがそれに当てはまる可能性は、十分に考えられるでしょうね」(前出・サブカルチャー研究家)
君子危うきに近寄らず。いかにゲームとはいえ、面白半分で遊ぶべきではないということだ。
(ジョン・ドゥ)