いまだ鎮静化しない、フジテレビをめぐる騒動。スポンサーが次々と撤退し、放送予定だった「FNS音楽祭」や「逃走中」、さらには「FNS27時間テレビ」といった大型番組のほか、夏の恒例イベント「お台場冒険王」も予算の見通しが立たず、開催危機を迎えている。
そうした打ち切り&中止ドミノは、中居正広氏と、彼から意に沿わない性行為を受けたというX子さん、そして2人を結び付けたとされる同社社員A氏の間のトラブルにあるわけだが、そんな流れの中で今、熱い視線が注がれている中古本がある。
小説家の本所次郎氏が2004年に著した「閨閥 マスコミを支配しようとした男」(徳間文庫)だ。もともと数百円だったこの1冊が、現在はAmazonで7万円のプレミアがついている。
登場人物や企業名はすべて架空のものにはなっているものの、フジサンケイグループで栄華を誇った鹿内一族をモデルにした作品であることは間違いない。その中で最もインパクトあるくだりで出てくるのが、鹿野春樹と冬木茂夫、そして瀬戸美智子だ。
このモデルとなっているのはそれぞれ、フジサンケイグループの創業者・鹿内信隆氏の長男で、フジテレビ元会長の鹿内春雄氏、露木茂アナウンサー、女子アナブームのパイオニア的存在の頼近美津子であることは自明の理である。
文中にはこんなくだりがある。もとともNHKアナだった瀬戸を春樹が気に入り、移籍金2000万円でフヨウテレビ(フジテレビのこと)にヘッドハンティング。なぜか春樹のマンションから2分しか離れていない新築マンションに、瀬戸を住まわせたという。もちろん家賃はフヨウテレビ持ちだ。そして引っ越し祝いと称して、3人でそのマンションでシャンパンで祝杯をあげる。
瀬戸がだいぶ酔うと、冬木がことさら高く左腕を上げて腕時計を見て、仕事があるからと退室。春樹と2人きりになった瀬戸は、彼と一夜をともにするという展開がある。
これは実業家の堀江貴文氏も「サンデー・ジャポン」(TBS系)に出演した際に触れているが、実際に頼近は破格のギャラでNHKから移籍し、のちに鹿内氏と結婚している。
巷で言われているフジテレビ女子アナの上納文化、それが女子アナブームの始まりと歩みが同じならば、空恐ろしい出来事である。
(中嶋ひかる)