2月16日に行われるGⅡ・京都記念(京都・芝2200メートル)。今年はチェルヴィニア(牝4)とソールオリエンス(牡5)の「GⅠ馬2頭」が駒を進めてきたが、両馬がアッサリと消えてしまうケースは大いにありうると、筆者はみている。
というのも、GⅠ馬にとっての京都記念は、4月6日のGⅠ・大阪杯(阪神・芝2000メートル)をはじめとする次走への「叩き台」にすぎないからだ。
圧倒的1番人気が予想されるチェルヴィニアは確かに強い。しかし、オーナーサイドは4月5日にメイダン競馬場で行われるGⅠ・ドバイシーマクラシック(芝2410メートル)の招待受諾をすでに発表している。ズバリ、今回の京都記念は初の海外遠征に向けた「壮行レース」の意味合いが濃厚なのだ。
名手ルメールが続けて騎乗することから、極端な凡走は考えられないところだが、壮行レースである以上、「メイチの仕上げはありえない」というのが筆者の見解である。
離れた2番人気が予想されるソールオリエンスにも「京都記念を叩いて大阪杯へ」の青写真が見え隠れする。さらに言えば、陣営は京都記念⇒大阪杯の後、6月15日に行われるGⅠ・宝塚記念(阪神・芝2200メートル)への出走を見据えているはずだ。
京都記念に向けた同馬の最終追い切りは「単走馬なり」の軽め調整でフィニッシュ。手塚久調教師は、
「わざと伸ばさないイメージで(やった)。2週前はいい時計を出したが、先週と今週は余力を残して、メリハリのある調教にした」
そうコメントしているが、仮にこれが乾坤一擲の「勝負調教」だったとしても、前走の大惨敗を含めた近走の成績から見て「狙えない」というのが、筆者の偽らざる結論である。
そこで浮上してくるのが、次走のGⅠではなくココ(京都記念)を狙ってエントリーしてきた伏兵馬の存在だ。
激走馬の候補としてはまずヨーホーレイク(牡7)、プラダリア(牡6)、セイウンハーデス(牡6)が思いつくが、この3頭には「休み明け初戦」「海外遠征帰り」などの気になる死角が存在する。
ならば叩き3走目で岩田康誠に乗り替わったエヒト(牡8)、ダート戦線から殴り込みをかけてきたメイショウユズルハ(牡6)あたりの大穴馬にも、ファンをアッと驚かせる「一発」のチャンスがあるのではないか。
(日高次郎/競馬アナリスト)