これまで2月だったサッカーJリーグの開幕時期が、2026年-2027年シーズンから8月に移行。この「秋春制」が採用されることにより、北海道や東北地方といった涼しい気候の地域での誘致合戦が激化している。
3月1日には「セレッソ大阪」が、開幕前の夏季キャンプを北海道東川町で実施すると発表したが、Jクラブのキャンプ地誘致に成功すれば、選手やスタッフなど1チームあたり60人近くが宿泊施設を2週間ほど利用することになる。さらに、サポーターが観光を兼ねて公開練習の見学に訪れることが予想され、宿泊施設だけではなく、飲食店や観光スポットも潤う。町にとっては「プチバブル」が期待できることなのだ。スポーツライターが解説する。
「キャンプ期間中には交流イベントが開催されることがあり、地元の子供たちがプロの選手と間近に触れ合い、競技力の底上げにもつながります。ただ、競技施設の整備をする場合、ピッチの芝生の張り替えなどの費用は1億円以上かかるとみられていますし、その負担額は大きい。それでも経済効果を考えれば、このタイミングで誘致に手を挙げないのは、ビジネスチャンスを逃すと考えているようです。夏場の過ごしやすさ、雨の少なさ、空港や市街地への利便性、リフレッシュ施設など、町側はそれぞれのウリをクラブ側に積極的にアピールしています
一方で、秋春制への移行でピンチを迎えることになりそうなのが、温暖な気候の沖縄・九州地方だ。今シーズン開幕前(1月中旬から下旬ぐらい)には沖縄、宮崎、鹿児島の3県を、J1からJ3まで40以上のクラブが訪れている。しかし8月に開幕するとなれば、各チームがキャンプ地を移転させる可能性はかなり高い。
「2026年-2027年シーズンは、12月中旬から翌年2月中旬までリーグ戦を中断する『ウインターブレーク』が組み込まれる予定です。しかし開幕前と合わせて1年に2回もキャンプができる資金力のクラブは限られているだけに、九州地方は誘致に諦めムードが漂っています」(前出・スポーツライター)
Jリーグ開幕時期の「引っ越し」が生む悲喜こもごも。キャンプ地に関わる自治体にとっては、まさに今が勝負の時期となる。
(海原牧人)